無資格の書類作成代行は違法?2026年改正の要点

結論:無資格者が報酬を得て消防書類を作成することは、改正行政書士法(2026年1月1日施行)により条文上明確に違法です。違反した場合、行為者本人は1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金、法人にも100万円以下の罰金が科される可能性があります。

消防関係の書類を外部に頼みたいとき、「代行サービス」と名乗る業者がインターネット上に多数存在します。しかし、その業者が行政書士でない場合、依頼する側にも法的リスクが生じます。本記事では、改正の内容・罰則・適法な依頼先の見分け方を整理します。


1. 行政書士法の原則:書類作成は行政書士の独占業務

行政書士法第1条の2は、官公署に提出する書類の作成を行政書士の業務と定めています。第19条第1項はその裏返しとして、行政書士でない者がこの業務を業として行うことを禁じています。

消防署に提出する防火管理関係書類・危険物関係書類・消防用設備等に関する届出書類は、いずれも「官公署に提出する書類」に該当します。したがって、これらを報酬を得て作成できるのは、原則として行政書士(または他士業の法定業務として認められる範囲)に限られます。

この原則自体は以前から変わっていませんが、実務では「コンサルタント料」「手数料」「サポート費用」といった名目で報酬を受け取り、実質的に書類を作成する無資格業者が存在していました。


2. 2026年改正で何が変わったか

行政書士法の一部を改正する法律(令和7年法律第65号)は、2026年(令和8年)1月1日に施行されました。

改正の核心は、第19条第1項(業務の制限)に次の文言が追加されたことです。

「他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て」

この文言追加により、「コンサルタント料」「手数料」「アドバイザリー費用」など、どのような名目で対価を受け取っていても、無資格者が官公署提出書類を作成することが条文上明確に違法となりました。

改正前は「名目を変えれば問題ない」という解釈の余地を主張する業者も存在しましたが、改正後はその余地がなくなっています。出典は総務省自治行政局長通知「行政書士法の一部を改正する法律の公布について」(総行行第281号、令和7年6月13日)です。


3. 罰則と両罰規定

行為者本人への罰則

第19条第1項に違反した場合、第21条の2により次の罰則が適用されます。

  • 1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金

法人への両罰規定

法人の代表者・代理人・使用人その他の従業者が、その法人の業務に関して違反行為を行った場合、行為者本人への罰則に加えて、法人自体にも100万円以下の罰金が科されます(第23条の3、両罰規定)。

つまり、会社として無資格の書類作成サービスを提供していた場合、担当者個人だけでなく会社組織そのものが罰金の対象となります。

依頼者側のリスク

現行法上、依頼者(書類の提出者)が直接罰則を受ける規定は行政書士法には設けられていません。ただし、違法業者に依頼することで書類の品質・正確性が担保されないリスク、および行政指導・是正要求を受けるリスクは依頼者が負います。消防書類の不備は防火管理体制の不備に直結するため、実務上の影響は軽視できません。


4. 「名目を変えれば合法」は通用しない

改正後に注意すべき業者の典型的な言い回しを整理します。

業者の言い回し実態改正後の評価
「コンサルタント料として受領」書類を作成して納品違法
「手数料のみ。書類は参考資料」実質的に完成書類を提供違法
「記載例を提供するだけ」個別案件に合わせた書類を作成違法
「ソフトウェア利用料」入力内容を業者が作成・完成違法の可能性が高い

「いかなる名目によるかを問わず」という文言は、こうした名目変更による脱法行為を封じるために追加されたものです。


5. 適法な依頼先の見分け方

消防書類の作成を外部に依頼する場合、次の点を確認してください。

チェックリスト

  • 受任者が行政書士であるか:日本行政書士会連合会の登録番号・所属会を確認できるか
  • 委任契約の相手方が行政書士(または行政書士法人)であるか:契約書・見積書の発行者を確認する
  • 報酬の名目が何であれ、書類を作成する主体が行政書士であると明示されているか
  • 行政書士の職印・記名が書類に押印・記載されるか(行政書士法第9条)

逆に、次のような業者は注意が必要です。

  • 行政書士登録の有無を明示しない
  • 「サポート」「アシスト」「代行」という言葉のみで、受任者が誰かを明示しない
  • 見積書・契約書の発行者が行政書士でも行政書士法人でもない

6. トドケデdaikouの受任構造

トドケデdaiku(消防書類サービス)では、書類の作成・提出は提携行政書士が受任・実施します。MeHer株式会社は集客・情報整理・進行管理・システム提供を担い、書類の作成行為は行いません。

この構造により、依頼者は行政書士法の要件を満たした形で消防書類の作成を依頼できます。

想定例:防火管理者選任届の依頼フロー

  1. 事業者がトドケデdaikouのフォームから必要情報を入力
  2. MeHer株式会社が情報を整理し、提携行政書士に引き継ぐ
  3. 提携行政書士が委任契約を締結し、書類を作成
  4. 提携行政書士が所轄消防署への提出手続きを行う
  5. 完了報告を事業者に送付

依頼者と書類作成者(行政書士)の関係が明確であることが、適法なサービスの条件です。

消防書類に関する基礎知識は消防書類完全ガイドもあわせてご参照ください。どの書類が必要か迷う場合はかんたん診断ツールをご利用いただけます。


7. よくある誤解

「防火管理者本人が書けばよいのでは?」

本人が自社の書類を自ら作成・提出することは適法です。行政書士法の規制は「他人の依頼を受けて報酬を得て行う」場合に適用されます。自社の防火管理者が自社の書類を作成するのは「本人作成」であり、規制の対象外です。

ただし、防火管理者の選任・書類作成の実務は複雑で、記載漏れや様式の誤りが生じやすい点には注意が必要です。

「ソフトウェアを使うだけなら問題ない?」

ソフトウェアの利用自体は問題ありませんが、業者がソフトウェアを通じて実質的に書類を作成・完成させ、その対価を受け取る場合は違法となる可能性があります。ツールの提供形態ではなく、「誰が書類を作成しているか」が判断基準です。

「改正前に契約したサービスは継続できる?」

改正法は2026年1月1日に施行されており、施行後は名目を問わず無資格者による有償の書類作成が違法となります。施行前に締結した契約であっても、施行後の行為には改正法が適用されます。


まとめ

  • 官公署提出書類の有償作成は行政書士の独占業務(行政書士法第19条第1項)
  • 2026年1月1日施行の改正により「いかなる名目によるかを問わず」の文言が追加され、名目変更による脱法が条文上封じられた
  • 違反した行為者には1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金、法人にも100万円以下の罰金(両罰規定)
  • 適法な依頼先は、受任者が行政書士(または行政書士法人)であることを明示しているサービス
  • トドケデdaikouは提携行政書士が受任・作成・提出を担う構造

消防書類の依頼先選びでお悩みの場合は、まずかんたん診断ツールで必要書類を確認し、トドケデdaikouの見積もりをご検討ください。


著者:丸岡 峻 元京都市消防局13年・現役防災士(日本防災士機構認定)・消防設備士・危険物取扱者 著者プロフィール


本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的助言ではありません。具体的な案件については、行政書士または弁護士にご相談ください。